ジョンロブ・フィリップ2 vs シティー2:細部の違いの蓄積が異なる印象へ

2023年9月30日

今回のブログ「ムカデの革磨き日記」は、フィリップ2とシティー2の比較についてお伝えしていきたいと思います。

ブログの目的」でもお伝えしましたが、ムカデはビールを飲みながら、革靴や革鞄を眺めている時間が大好きです♪

お気に入りの靴を並べて眺めていると幸せです☆

そんなとき、並べてみてはじめて「気づく」ことがあります。

今回御紹介する、フィリップ2とシティー2もまさにそうです。

気づいたことをまとめてみました。

ラスト

このフィリプ2とシティー2は、同じ「ラスト7000」です。

向かって右がフィリップ2、左がシティー2

名作といわれる、ラスト7000は、ジョンロブの言う「タイムレス」なラストです。

イギリス靴なのに、長めで、しかも尖っておらず、

メリハリがあるのに、フォーマルであり、

時代を感じさせない、普遍的な美しさがあります。

確かに、凛とした壮麗さがあります。

向かって右がフィリップ2、左がシティー2

並べてみると、一足の靴の様です。

フィリップ2を購入後、しばらくしてシティー2を購入しました。

当初、シティー2はフィリップ2の装飾部を除外して、フォーマルにしている様なイメージでしたが、

並べてみると、それだけではないことに気づきました(そりゃそうですよね。。。)

上の画像をアップにしてみます。

向かって右がフィリプ2、左がシティー2

フィリップ2のつま先部分のブローグの位置が、シティー2のストレートチップの部分よりわずかに上にあります。

このブローグの位置が低すぎても高すぎてもイメージが変わってきます。

今回は提示していませんが、フィリップ2の前身であるフィリップは、フィリップ2と比較して、つま先部分のブローグは、やや上側にあります。

ラスト7000に変更して、ブローグの位置も変化しています。

ここら辺は、ラストにあわせ、何度も何度も計算して配置したのだと想像します。

コバ

そして、靴底の側面、いわゆるコバのせり出しが異なります。

フィリップ2の方がせり出しています。

せり出していることにより、ジョンロブの非常に細かい縫製技術を、よりはっきり見ることができます。

このせり出しにより、フィリップ2はより華やかに見えます。

逆に、せり出しの少ないシティー2は、よりフォーマルに見えます。

背面

背面は、印象が全く異なります。

フィリップ2は縫い目のない、いわゆるシームレスな背面です。

向かって右がフィリプ2、左がシティー2

フィリップ2のほうが高くなっています。

かかとの高さと、シームレスなかかとにより、フィリップ2はよりエレガントです。

同じラストなのに、全く異なるのが、この背面だと感じます。

これは、ソールの違いも影響しています。

フィリップ2はプレステージソールです。

フィリップ2のプレステージソール

プレステージソールは、シティー2やウイリアム2のソールと異なり、厚く、そして立体感があります。

画像ではわかりづらいですが、つま先の中央に盛り上がりがあり、立体感があります。

これにより、プレステージソール特有の、なんともいえない履き心地になっています。

そして、ジョンロブサウンドを奏でます♪

前面

向かって右がフィリップ2、左がシティー2

フィリップ2の側面のブローグも大変気に入っています。

この小ぶりのブローグが華美過ぎずエレガントです。

そして、良く見ると縫製が異なっています。

フィリップ2のほうがブローグがあるからか、細かい縫製にも違いがあります。

靴紐

どちらもジョンロブ純正の靴紐です。

シティー2はやはりフォーマルな丸紐です。よりドレッシーに見えます。

フィリップ2は平紐です。より華麗に見えます。

どちらも、他の靴メーカーよりも太めな紐です。

このジョンロブの紐は、太くてロウひきなのでほどけにくく、クッション性も高いので大変気に入っています。

シティー2のフォーマルさ

両者を比較する前は、シティー2がフィリップ2に圧倒されるかと思いましたが、

両者を並べてみると、もちろんフィリップ2は華麗だなぁ~とは思いますが、

シティー2の凛としたフォーマルさもまた強調されました。

向かって右がフィリップ2、左がシティー2

コパのせり出しも、ブローグもありませんが、

そのラストや革質からくるオーラがまた格別です。

高校の修学旅行で、京都のお寺でお坊さんから、「仏像は、位が高いほど身につけているものが少ない」という事を伺いましたが、それを何十年ぶりかで思い出しました!

向かって右がフィリップ2、左がシティー2

ビールを飲みながら、大好きな革靴を眺めていたら、様々なことに気づきました。

革靴を見ながら、床にはいつくばって見上げてみたり、近寄って靴をひっくり返したり裏返しにしたりと、

なんとも、他の人には見せらない様なカッコで眺めています(笑)

比較してみると、より、それぞれの良さを感じることができます。

そんなことをしている時が至福の時間です。

そうやって眺めていると、靴メーカーや靴職人の方々、それに関わる人々への感謝とリスペクトがわき上がります。

そして、明日からまたがんばろう、という思いにもなります(笑)

まとめ

フィリップ2とシティー2は同じラストなので一見似ていますが、計算し尽くされた細部の異なりが蓄積し、トータルではだいぶ違う印象になっています。むしろシティー2の良さを感じました!

次回

※次回のブログ「ムカデの革磨き日記」は、今度はフィリップ2とウイリアム2の比較についてお伝えしていきたいと思います。

※このジョンロブの比較シリーズ、以前からずっとやりたかったので、今回は気合を入れて背景を変えてみました!