ジョンロブ・フィリップ2 vs シティー2:細部の違いの蓄積が異なる印象へ
今回のブログ「ムカデの革磨き日記」は、フィリップ2とシティー2の比較についてお伝えしていきたいと思います。
「ブログの目的」でもお伝えしましたが、ムカデはビールを飲みながら、革靴や革鞄を眺めている時間が大好きです♪
お気に入りの靴を並べて眺めていると幸せです☆
そんなとき、並べてみてはじめて「気づく」ことがあります。
今回御紹介する、フィリップ2とシティー2もまさにそうです。
気づいたことをまとめてみました。
ラスト
このフィリプ2とシティー2は、同じ「ラスト7000」です。
名作といわれる、ラスト7000は、ジョンロブの言う「タイムレス」なラストです。
イギリス靴なのに、長めで、しかも尖っておらず、
メリハリがあるのに、フォーマルであり、
時代を感じさせない、普遍的な美しさがあります。
確かに、凛とした壮麗さがあります。
並べてみると、一足の靴の様です。
フィリップ2を購入後、しばらくしてシティー2を購入しました。
当初、シティー2はフィリップ2の装飾部を除外して、フォーマルにしている様なイメージでしたが、
並べてみると、それだけではないことに気づきました(そりゃそうですよね。。。)
上の画像をアップにしてみます。
フィリップ2のつま先部分のブローグの位置が、シティー2のストレートチップの部分よりわずかに上にあります。
このブローグの位置が低すぎても高すぎてもイメージが変わってきます。
今回は提示していませんが、フィリップ2の前身であるフィリップは、フィリップ2と比較して、つま先部分のブローグは、やや上側にあります。
ラスト7000に変更して、ブローグの位置も変化しています。
ここら辺は、ラストにあわせ、何度も何度も計算して配置したのだと想像します。
コバ
そして、靴底の側面、いわゆるコバのせり出しが異なります。
フィリップ2の方がせり出しています。
せり出していることにより、ジョンロブの非常に細かい縫製技術を、よりはっきり見ることができます。
このせり出しにより、フィリップ2はより華やかに見えます。
逆に、せり出しの少ないシティー2は、よりフォーマルに見えます。
背面
背面は、印象が全く異なります。
フィリップ2は縫い目のない、いわゆるシームレスな背面です。
フィリップ2のほうが高くなっています。
かかとの高さと、シームレスなかかとにより、フィリップ2はよりエレガントです。
同じラストなのに、全く異なるのが、この背面だと感じます。
これは、ソールの違いも影響しています。
フィリップ2はプレステージソールです。
プレステージソールは、シティー2やウイリアム2のソールと異なり、厚く、そして立体感があります。
画像ではわかりづらいですが、つま先の中央に盛り上がりがあり、立体感があります。
これにより、プレステージソール特有の、なんともいえない履き心地になっています。
そして、ジョンロブサウンドを奏でます♪
前面
フィリップ2の側面のブローグも大変気に入っています。
この小ぶりのブローグが華美過ぎずエレガントです。
そして、良く見ると縫製が異なっています。
フィリップ2のほうがブローグがあるからか、細かい縫製にも違いがあります。
靴紐
どちらもジョンロブ純正の靴紐です。
シティー2はやはりフォーマルな丸紐です。よりドレッシーに見えます。
フィリップ2は平紐です。より華麗に見えます。
どちらも、他の靴メーカーよりも太めな紐です。
このジョンロブの紐は、太くてロウひきなのでほどけにくく、クッション性も高いので大変気に入っています。
シティー2のフォーマルさ
両者を比較する前は、シティー2がフィリップ2に圧倒されるかと思いましたが、
両者を並べてみると、もちろんフィリップ2は華麗だなぁ~とは思いますが、
シティー2の凛としたフォーマルさもまた強調されました。
コパのせり出しも、ブローグもありませんが、
そのラストや革質からくるオーラがまた格別です。
高校の修学旅行で、京都のお寺でお坊さんから、「仏像は、位が高いほど身につけているものが少ない」という事を伺いましたが、それを何十年ぶりかで思い出しました!
ビールを飲みながら、大好きな革靴を眺めていたら、様々なことに気づきました。
革靴を見ながら、床にはいつくばって見上げてみたり、近寄って靴をひっくり返したり裏返しにしたりと、
なんとも、他の人には見せらない様なカッコで眺めています(笑)
比較してみると、より、それぞれの良さを感じることができます。
そんなことをしている時が至福の時間です。
そうやって眺めていると、靴メーカーや靴職人の方々、それに関わる人々への感謝とリスペクトがわき上がります。
そして、明日からまたがんばろう、という思いにもなります(笑)
まとめ
●フィリップ2とシティー2は同じラストなので一見似ていますが、計算し尽くされた細部の異なりが蓄積し、トータルではだいぶ違う印象になっています。むしろシティー2の良さを感じました!
次回
※次回のブログ「ムカデの革磨き日記」は、今度はフィリップ2とウイリアム2の比較についてお伝えしていきたいと思います。
※このジョンロブの比較シリーズ、以前からずっとやりたかったので、今回は気合を入れて背景を変えてみました!